Agent Search(旧Vertex AI Search)は、Googleが提供するAI検索エンジン構築サービスで、高度な自然言語処理や生成AI技術を活用した検索システムを簡単に構築できます。
Agent Searchには「プリアンブル」と呼ばれる機能があり、生成AIのシステムプロンプトのように、AIによる回答生成のスタイルをコントロールすることができます。
本記事では、Agent Searchのプリアンブル機能の概要や設定方法について解説します。
Agent Searchのプリアンブルとは
Agent Searchのプリアンブルは、検索によって得られた結果を要約して回答を生成する際に、回答の方針やスタイル、形式などを指示するプロンプトです。
例えば「トラブルシューティングの質問に対してはこれまでに寄せられたFAQから質問に対する解決策を提示する」といった回答の方針や、「技術的な知識が少ない方でも分かるよう、専門用語は噛み砕いて」などの回答スタイル、「箇条書きで」などの回答形式などを指定できます。
Agent Searchの回答生成機能におけるプリアンブルの役割
設定したプリアンブルがAgent Searchの中でどのように機能するか、解説します。
Agent Searchの回答生成の機能(answer メソッド)は、大きく分けて以下の3つのフェーズで構成されています。
- クエリフェーズ: ユーザーからの質問を受け取り、クエリを検索しやすいように整形する
- 検索フェーズ: 関連するドキュメントを検索・抽出する
- 回答フェーズ: 検索結果をもとにLLMが回答を生成する
プリアンブルは回答フェーズで動作します。

そのため、プリアンブルに「〇〇というキーワードは省いて検索してください」や「クレームを含む質問には検索を行わずに固定の文言を返して」といった、検索処理(クエリフェーズ・検索フェーズ)に対するルールを記載しても動作しません。プリアンブルはあくまで検索してきた後の回答生成に対する指示である点に注意が必要です。
プリアンブルを設定するメリット
プリアンブルを設定するメリットは、生成される回答の要約方法をコントロールできることです。
例えば公式のドキュメントではプリアンブルのユースケースとして以下のようなケースが上げられています。
- 回答をビジネスニーズに合わせてカスタマイズする必要がある
- 回答を特定のスタイルで入力する必要がある
- 回答を特定の形式にする必要がある
- 回答は簡潔にする必要がある
- 回答はより包括的である必要がある
- 禁止されているトピックが含まれる
- ハルシネーション(誤った情報)を減らす
カスタム プリアンブルについて | Agent Search | Google Cloud Documentation
回答をブランドイメージに合った口調にすることで、サイト全体のイメージを損なわずにAgent Searchを組み込む、政治的な主張や競合他社に関するトピックを除外してガバナンスを強化する、利用するユーザー像に合わせて回答の詳細度を調整するなど、様々な用途でプリアンブルを使用できます。
プリアンブルの設定例
公式ドキュメントでは、プリアンブルは次の2つの部分で構成することが推奨されています。
- タスクの説明:
LLMに実行させるタスクを記載します。
例:「あなたは〇〇サイトの要約ツールです」などのロールを指定します。
- 追加の指示:
LLMが従うべき具体的なルールを記載します。
例:「出力は必ず箇条書きにしてください。」や「回答文字数は300文字以内に納めてください。」などの要約に関するルールを記載します。
上記の推奨構造を踏まえて、弊社が運営する多摩川レンタサイクルサービス「RIDEAWAY」を想定して作成したプリアンブルの例が以下のものです。
あなたはスポーツバイク専門のレンタサイクルサービス「RIDEAWAY」に設置された、親しみやすく優秀なAIアシスタントです。あなたの役割は、ユーザーの質問の真意を理解し、その質問に対して「会話をしたくなる」「ストレスなく読める」ような有益な回答を提供することです。
また、回答の構成と書式については、以下の点に留意してください。
1) 結論ファーストを徹底し、最も重要な回答を最初の1文で述べる
2) 専門用語の解説は最小限に留め、回答全体を300文字程度で簡潔にまとめる
3) 読みやすくするために、適宜「箇条書き」や「太字」を使用して回答を構造化する
4) 丁寧ですが、堅苦しくない親しみやすい「です・ます調」で話す
5) ユーザーからの入力がただの挨拶だけの場合は、シンプルに挨拶だけを返す
上記のプリアンブルを設定した結果は以下の通りです。
プリアンブルが未設定の場合
プリアンブルが未設定の場合の生成結果が以下になります。詳細度は高いですが、レンタサイクルのサイトに訪れた一般のお客さまに表示する文言としては長すぎるうえ、表現も堅苦しいです。

独自のプリアンブルを使用した場合
独自のプリアンブルを設定した場合の出力結果です。箇条書きも交えた300字程度の簡潔な文章で、口調も親しみやすくなりました。

プリアンブル使用上の注意点
プリアンブルの設定にあたっては以下の点に注意が必要です。
複数の質問例でテストをする
プリアンブルは強力な機能ですが、特定のルールを強く設定しすぎると、他の質問をされた際に意図しない回答形式になったりする可能性があります。想定される質問のリストを作成し、生成される出力が問題ないか、包括的なテストを行うとよいでしょう。
継続的に回答を確認する
読み込ませるドキュメントを更新したり、回答に使用する生成AIのモデルを変更したりすると、プリアンブルの効果が変わる場合があります。そのため、定期的に出力される回答を確認し、プリアンブルを調整する必要があります。
検索結果そのものは変えられない
プリアンブルはあくまで回答生成時の見せ方を変えるものです。検索対象のドキュメントにそもそも必要な情報が存在しない場合や情報が古い場合には、プリアンブルを工夫しても正しい回答を作りだすことはできません。回答結果を修正する場合は、ドキュメントの更新作業が必要です。
まとめ
Agent Searchにおけるプリアンブルは、検索してきたドキュメントをどのように要約するかを指示するプロンプトです。上手く活用することで、サイトの属性に合った、ユーザーにとって役立つ回答を出力させることが可能です。
Agent Searchの強力な検索機能を自社のWebサイトに最短かつ安全に導入したい方におすすめなのが、AIサイト内検索サービス「SiteAsk(サイトアスク)」です。
- Agent Searchを採用、回答データの作成や保守が不要
Agent SearchがWebサイトのデータから自動的にRAGを構築するため、面倒なデータ処理は不要です。Webサイトの更新と共にデータは更新されるので、運用中のデータ保守も不要です。
- 出力の自動テスト機能を搭載
想定される質問のリストに対して回答生成を自動でテストする機能を搭載しています。ドキュメントの更新やプリアンブルの調整にお役立ていただけます。
- システム改修不要で導入可能
Googleタグマネージャー(GTM)を利用してタグを設置するだけで導入できるため、既存のシステムやサイトのソースコードを改修する必要がありません。
Agent Searchの技術を活用して、自社サイトの検索体験を劇的に向上させたい方は、ぜひSiteAskの導入をご検討ください。







