リッチリザルト(リッチスニペット)の仕組みと設定方法
こんにちは、SEO分析ツール「アナトミー」開発チームの伏見です。
Google の検索結果でイベントの開催日程が表示されるページに出会ったことはないですか?
イベントの日付・場所・詳細へのリンクが表示されていますよね。このような検索結果はリッチリザルト(リッチスニペット)と呼ばれています。
リッチリザルトでは、ページタイトル・URL・ディスクリプションに加え、特定の情報を検索結果に表示します。Web ページをリッチリザルト対応すると、検索結果に表示する情報量を増やすことができます。また、「構造化データ」と呼ばれる情報を検索エンジンに提供することで、検索結果の正確性を向上できます。
つまり、リッチリザルトは SEO 上の効果が期待できるのです。
今回は、リッチリザルトの仕組みや設定方法についてお話ししたいと思います。
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リッチリザルトとは
リッチリザルトは、Google検索結果に表示される付加的な情報です。通常の青色リンクに比べ、特徴のある見た目になります。
リッチリザルトに表示される情報は、「型」があらかじめ定義されています。パンくず・イベント・レシピ・FAQ・商品などがあり、Google は 29 種類の「型」に対応しています(2020年8月現在)。
検索結果にリッチリザルトを表示するには、Web ページに「構造化データ」を追加します。構造化データについての詳細は後述します。
なお、リッチリザルトは「リッチスニペット」、「リッチカード」、「エンリッチ検索結果」などの呼び名で利用されていました。Google もこれらの呼び名を混在して使用していましたが、今は Google が正式に「リッチリザルト」という名称に統一しています。
リッチリザルト
視覚的な機能や操作機能が追加された、Google 検索結果です。以前は「リッチカード」または「リッチ スニペット」として知られていました。
https://support.google.com/webmasters/answer/7506797?hl=ja&ref_topic=7508311
リッチリザルト対応によるSEO効果
ユーザーエクスペリエンスが向上する
現時点では、リッチリザルトへの対応をすることによる検索順位への直接的な効果はないとされています。しかし、Google ウェブマスター向け公式ブログでも説明されているように、検索結果を際立たすことにより、ユーザーエクスペリエンスが向上し、アクセス数を増加させる効果があるとされています。
検索結果への反映が早くなる
リッチリザルトの情報の元となる「構造化データ」は、HTML にインラインで埋め込まれます。また、構造化データはクローラーが処理しやすい形式のため、検索結果への反映時間が短くなることが期待できます。実際、FAQページの構造化データは設定後30分以内に反映されるという情報もあります。
リッチリザルト対応は、更新した情報をいち早く届けたい場合にも効果がありそうです。
検索結果の正確性がアップする
構造化データを導入することによる副次的な効果もあります。
構造化データを検索エンジンに認識させることで、検索エンジンが正確に検索結果を返すことができるようになります。例えば、レシピのページなら、レシピの構造化データがあると検索に有利に働きます。
実際に「レシピ 500kcal」で検索してみましょう。
検索結果は、大半が 500kcal のレシピですが、一部 500kcal ではないレシピも含まれています(赤枠で囲んだレシピ)。なぜこのようなことが起きたのでしょうか?
500kcal ではないレシピのページを見ると、ページには構造化データが含まれていません。また、レシピの説明文や関連レシピに「500kcal」の文字が含まれています。
一方、500kcal のレシピのページには、ほとんどのページに構造化データが含まれています。
つまり、Google がサイトをクローリングする際、構造化データがあれば、構造化データのカロリー数を参照する。そして、構造化データがなければ、ページの内容からカロリー数を自動判断する。このとき、カロリー数を「500kcal」と誤って判断したことが検索結果に影響したといえます。
このように、ページに構造化データを追加しておくと、検索エンジンのクローラビリティが向上し、検索エンジンが正しく情報を理解できるようになります。ユーザーにとっては知りたい情報に早くたどり着けることになり、サイト運営者にとってはユーザーニーズにマッチした情報を見てもらえるようになります。
- 関連記事:SEO(検索エンジン最適化)の基本
- 関連記事:SEOの内部対策とは?【3つの効果的な対策】
リッチリザルトと強調スニペットとの違い
リッチリザルトと異なりますが、インパクトのある表示形式に「強調スニペット」があります。
強調スニペットは、質問形式の検索をしたときなどに表示されます。リッチリザルトは、自身のページで表示の仕方を設定することができますが、強調スニペットは自身で設定できないとされています。
リッチリザルトは29種類
検索結果に表示されるリッチリザルトは 29 種類あります。その中で、特に有用なリッチリザルトを紹介します。
パンくずリスト
最もよく目にするリッチリザルトです。URL 欄にパンくずを表示させることができます。パンくずリストの構造化データを設定すると、URL 欄のドメインより後ろの部分にパンくずリストが表示されます。
URL 部分に日本語が表示されるので、ユーザーはページの内容が理解しやすくなります。
なお、構造化データを設定しない場合、URL欄はディレクトリごとに「>」 で区切った表示になります。
WordPressの大半のテーマがパンくずリストのリッチリザルトに対応しているので、ブログには既にパンくずが表示されていることが多いです。
パンくずリストの構造化データを設定する方法の詳細については、以下の記事を参照してください。
- 関連記事:パンくずリストの構造化データの書き方
イベント
講演会やコンサート、セミナーなどのイベント情報のリッチリザルトです。イベントのリッチリザルトには、日付・イベント名・場所が表示されます。
イベントの構造化データでは、イベント名・場所・日時といった基本情報のほかに、空席状況や申込サイトの情報も提供できます。
その他、次のような特徴があります。
- イベント日程は最大3件まで表示される
- 各イベントに対して個別にURLを指定できる
- 完売状態のイベントは表示されない
- 関連記事:イベントの構造化データの書き方
FAQ
よくある質問ページの質問と回答を表示するリッチリザルトです。
検索結果には上位 3 件がアコーディオンで表示されます。「すべて表示」をクリックすると、全件表示できます。
回答部分にはリンクも表示できるので、詳細な情報が知りたいユーザーをサイト内へと誘導することが可能です。
- 関連記事:FAQの構造化データの書き方
商品とレビュー
EC サイトでよく表示される評価やレビュー、価格のリッチリザルトです。タイトル直下に表示され、星マークもオレンジ色なので非常に目立ちます。
EC サイトではリッチリザルト対応は必須ですね。
求人
採用情報のリッチリザルトです。募集職種・企業・勤務地・給与・登録日など、多くの情報が表示されます。
求人情報をクリックすると、Google しごと検索へ遷移します。
企業の採用情報ページに構造化データをマークアップするとよいかもしれません。
その他
その他の形式のリッチリザルトについては、以下を参照してください。
構造化データの導入方法
Google の検索結果にリッチリザルト形式で表示させるには、ページに「構造化データ」を設定します。構造化データを追加する方法には以下の2種類の方法があります。
- HTML に構造化データのマークアップを追加する
- データハイライターで構造化データを追加する
HTMLに構造化データマークアップを追加する
構造化データのタグを HTML に記述する方法です。記述するマークアップには、以下の3つの書式があります。
JSON-LD は、構造化データを script タグで埋め込む書式です。Google が推奨している書式で、こらから始めるなら JSON-LD が良いでしょう。
microdata は、itemprop 属性や itemscope 属性を指定します。構造化データの項目がページ内に存在すれば指定しやすい点がメリットです。反面、Web ページのレイアウト変更時に microdata の属性が失われないように注意する必要があります。
今回は、2020年4月1日 15:00から始まるイベント情報を JSON-LD 形式で指定する例で説明します。
以下のような script タグを、head タグまたは body タグの中に配置します。
<script type="application/ld+json">
{
"@context" : "http://schema.org",
"@type" : "Event",
"name" : "【イベント名】",
"startDate" : "2020-04-01T15:00+09:00",
"location" : {
"@type" : "Place",
"address" : "【開催場所の住所】"
}
}
</script>
script タグ内は JSON 形式で、構造化データの種類ごとに、必要な項目が決まっています。イベントの場合、name にはイベント名称を、startDate にはイベント開始日時を、address にはイベントの開催場所を指定します。
scriptタグの記述に慣れていない方は、Googleが公開している構造化データ マークアップ支援ツールを使うとscriptタグを簡単に用意できます。
設定の詳細については、以下を参照してください。
- 関連記事:パンくずリストの構造化データの書き方
- 関連記事:イベントの構造化データの書き方
- 関連記事:FAQの構造化データの書き方
データハイライターを使う
HTML に変更を加えずに構造化データを指定する方法です。Googleサーチコンソールの登録を済ませていれば無料で使用できます。
データハイライターは、既存ページに含まれるテキストを構造化データとして使用します。データハイライターは以下の一部の構造化データのみ、対応しています。
- イベント
- ソフトウェアアプリケーション
- テレビ番組のエピソード
- レストラン
- 商品
- 映画
- 地域のお店やサービス
- 書評
- 記事
リッチリザルトの表示確認
ページに設定した構造化データは、様々な方法で表示確認できます。ここでは4つの確認方法を紹介します。
Google検索でリッチリザルトを確認する
Google検索で検索し、実際の表示を確認する方法です。
たとえば、シンメトリックのSEOセミナーの場合、「SEOセミナー」で検索して、ページにイベント構造化データに設定したセミナー日程が表示されているかどうかを確認できます。
順位が低いページの場合は、「site:」検索を併用すれば確認しやすいです。
ただし、この方法のデメリットは、リッチリザルトで表示されなかったときの原因が分からない点と、該当ページが大量にあるときに確認しきれない点です。
サーチコンソールでリッチリザルトを確認する
サーチコンソールにはリッチリザルトレポートがあり、ページに設置した構造化データが有効かエラーかが分かるようになっています。
サイトに構造化データを設置すると、サーチコンソールの拡張メニューにリッチリザルトの一覧がメニュー表示されます。
リッチリザルトの種類ごとに、「有効」「有効(警告あり)」「エラー」に分類されるので、ページに設定した構造化マークアップのチェックが簡単にできます。
警告やエラーの詳細も、サーチコンソール上で確認できます。
この方法のデメリットは、Googleがクローリングするまで待つ必要がある点です。
なお、拡張メニューにリッチリザルトがそもそも表示されていない場合は、Googleがページをインデックス処理していないか、構造化データに誤りがあるかのいずれかです。
リッチリザルトテストツールでリッチリザルトを確認する
リッチリザルトテストツール(もしくは構造化データテストツール)は、URL か HTML を指定すると、そのページの構造化データが正しくマークアップされているかをチェックしてくれます。
Googleがクローリングするより前に構造化データを確認したいときや、開発中のHTMLコードをテストしたいときに便利です。
- 関連記事:リッチリザルトテストツールの使い方
アナトミーでリッチリザルトを確認する
リッチリザルトをビジュアルに確認したいときは、SEO分析ツール「アナトミー」のタグ構造チェック機能を使います。
ページごとの構造化データを確認できます。
構造化データ設定上の注意点
コンテンツガイドラインに準拠する
構造化データで指定した内容は、検索結果にそのまま掲載されるため、ガイドラインが決められています。
たとえば、イベントのガイドラインでは、割引キャンペーンやクーポンなど販促情報を含めてはならないとされています。ガイドライン違反があると、掲載順位が下がるなど甚大な影響があります。
構造化データは、ガイドラインに準拠して記載しましょう。
ガイドライン違反とみなされる書き方については、以下の記事を参考にしてください。
- 関連記事:リッチリザルトテストツールの使い方
まとめ
今回はリッチリザルトについてお話しました。
構造化データを設定することで、検索結果を目立たせ、ユーザーへの訴求を増やすことができるようになります。また、構造化データの設定作業を支援するGoogle公式ツールも存在します。着実に実行できる SEO 対策として、皆さんも是非リッチリザルト対応してみてください。
シンメトリックが定期開催している無料SEOセミナーでは、Google検索の仕組みやSEOの基本についてわかりやすく解説しています。
セミナーではGoogle公式のSEOガイドであるGoogle検索セントラルの「Google検索の仕組み」と「スターターガイド」の内容を読み解くことで正しいSEO基礎知識のスタート地点を受講者に提供することを目指しています。
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