こんにちは、SEO分析ツール「アナトミー」開発チームの江頭です。
Google 検索では、大半のサイトで、スマホサイトを検索インデックスとする 「モバイルファーストインデックス」 が採用されています。 「モバイルファーストインデックス」対策として、何をすればよいのでしょうか?
鍵となるのが 「スマホを利用するユーザー」向けのサイト最適化です。
モバイルファーストインデックスにより、スマホサイトの品質が検索順位に影響するようになっています。SEO 担当者は、スマホユーザーが見ている画面や表示速度に気を配る必要があるのです。
この記事では、この記事では、スマホ向けSEO対策として知っておきたい「モバイルファーストインデックス」について紹介します。
モバイルファーストインデックスとは?
モバイルファーストインデックス(Mobile First Indexing)は、検索エンジンがスマホサイトを検索インデックスとして採用することです。これまで Google は、PC サイトを検索インデックスとして利用していましたが、今後はSEO対策としてスマホが重視されることになります。
モバイルファーストインデックスは、2018 年から徐々に導入され、2019 年 7 月以降のすべての新規サイトについてはモバイルファーストインデックスが有効になりました。現時点でモバイルファーストインデックスが有効になっていないサイトも、2020年中にはすべてのサイトで有効化されます。
さらに、2021年3月には、GoogleはPCサイトの検索インデックスを利用しなくなります。
つまり、Webサイトのスマホ対応はSEO対策に欠かせません。
モバイルファーストインデックスの考え方
モバイルファーストインデックスの基本的な考え方は以下の3点です。
- 検索インデックスは1種類
- サイト単位で自動適用
- クローラーは2種類
基本① 検索インデックスは1種類
モバイルファーストインデックスでは、「PC 用の検索インデックス」と「スマホ用の検索インデックス」の 2 つのインデックスがあるのではなく、 「スマホ用の検索インデックス」 しかありません。
つまり、スマホで検索したときも、PC で検索したときも、スマホサイトの検索インデックスが使われて、検索結果に表示されることになります。
基本② サイト単位で自動適用
モバイルファーストインデックスは、Google の判断基準によって、どのサイトで採用するかが決められています。モバイルファーストインデックスを無効にすることはできません。
大半のサイトは、既に「モバイルファーストインデックス」に移行しています。
基本③ クローラーは2種類
モバイルファーストインデックスに切り替えが行われても、PC版とモバイル版の2種類の クローラーがサイトを巡回します。
巡回頻度はスマホ版クローラーの方が高く、スマホとPCの比率は 2 : 1 程度です。
実際、Webサーバーのアクセスログを見ると、2種類のクローラーが同じページへアクセスしていることが分かります。
- PC版クローラーからのアクセス
66.249.79.155 - - [25/Feb/2020:12:49:12 +0900] "GET / HTTP/1.1" 200 10404 "-" "Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)" [-]
- モバイル版クローラーからのアクセス
66.249.79.155 - - [25/Feb/2020:19:45:01 +0900] "GET / HTTP/1.1" 200 10404 "-" "Mozilla/5.0 (Linux; Android 6.0.1; Nexus 5X Build/MMB29P) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/41.0.2272.96 Mobile Safari/537.36 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)" [-]
この後に説明する、PCサイトとモバイルサイトの同一性を検証しているためと考えられます。
モバイルファーストインデックスの確認方法
モバイルファーストインデックスが有効かどうかを確認するは、Googleサーチコンソールを利用します。
- Googleサーチコンソールにログインし、[設定]メニューを選択します。
- インデックスクローラの欄に表示されている値を確認します。
スマートフォン用Googlebot
Googleサーチコンソールで確認したインデックスクローラが「スマートフォン用Googlebot」と表示されている場合は、モバイルファーストインデックスが有効になっています。
パソコン用Googlebot
また、Googleサーチコンソールで確認したインデックスクローラが「パソコン用 Googlebot」と表示されている場合は、モバイルファーストインデックスに切り替わっていません。
まだモバイルファーストインデックスに切り替わっていないサイトは、Google が切り替えを判断するとメールで通知されます。
Googleがモバイルファーストインデックスを採用した理由
ところで、Googleが検索インデックスを「PCサイト」から「スマホサイト」に変更し、モバイルファーストインデックスを採用したのはなぜでしょうか?
2つ理由があります。
理由① モバイル検索の利用率が高い
今やPCよりもスマホで検索していることに疑いはないでしょう。実際、Googleも2015年に「モバイル検索がPC検索を上回った」と発表しています。Googleはその翌年からモバイルファーストインデックスに向けて動き出しています。
理由② モバイル検索結果のミスマッチ
スマホの表示画面は狭く、通信速度の問題もあるため、スマホサイトにはPCサイトの一部だけ掲載していることがあります。しかし、 PCサイトを元に検索インデックスを構築していたので、実際にスマホでサイトにアクセスすると、該当の情報がないというミスマッチが起きていました。
スマホが検索の主流になったので、検索インデックスもそれに合わせた、というわけです。
モバイルファーストインデックスによる検索順位への影響
モバイルファースト インデックスでは、スマホに最適化しているかどうかが検索順位へ影響します。
注意が必要なのは「スマホ対応していないサイト」「スマホ版の情報量を絞っているサイト」「表示速度が遅いサイト」です。
影響① スマホ対応していないサイトの場合
スマホに対応していないサイトは、モバイルファーストインデックスにより、検索順位が下がります。
Googleも Twitter で「モバイルフレンドリー(サイトをスマホ対応すること)はスマホのランキング要因で、モバイルファースト インデックスはそうではない。」と言及しています。
また、「モバイルファーストインデックスが採用されているかどうかはランキング要因ではない」とも述べています。
スマホでも見やすいレイアウトにすることは、SEO対策の一環ですね。
影響② スマホサイトの情報量がPCより少ない場合
PCサイトではなく、スマホサイトの情報で検索順位が決定されるため、検索順位に影響があります。情報が少ない分、通常はマイナスの影響の方が多いでしょう。
影響③ スマホサイトの表示速度が遅い場合
ページの表示速度が検索順位のランキング要素に追加されているので、遅いサイトはマイナスの影響があります。
仮に検索順位への影響がなかったとしても、スマホページの表示速度が遅いサイトは離脱が多くなります。
この後に説明する方法で、表示速度の調査と改善をしましょう。
モバイルファーストインデックスを考慮したスマホ向けSEO対策6つ
検索エンジンはもちろん、スマホユーザーのユーザビリティを損ねないことが、モバイルファーストインデックスへの対応方針です。
具体的には、次のような対策を実施します。
- スマホサイトを見てみる
- スマホに最適化したレイアウトにする
- スマホサイトに情報を増やす
- 相互リンクの指定と相互リダイレクト
- 広告表示に注意する
- ページ表示速度を上げる
対策① スマホサイトを見てみる
検索ユーザーもクローラーも、スマホサイトを見ています。普段、PCで業務しているSEO担当者も、まずはスマホサイトを見る癖をつけましょう。
スマホ実機でアクセスするのが一番ですが、Chromeブラウザでもスマホの見た目を確認できます。
対策② スマホに最適化したレイアウトにする
検索エンジンはスマホ対応したサイトを重視しています。スマホユーザーに見やすいレイアウトに改修します。スマホ最適化の方法については後述します。
スマホ対応しているかどうかは、Google も自動でチェックしています。サーチコンソールの「モバイル ユーザービリティ」レポートで、Google が検知したスマホ未対応ページを確認できます。
モバイルユーザビリティレポートで有効になっているページが少なく、エラーが多いのであれば、ページをモバイルフレンドリーに対応する必要があります。
- 関連記事:モバイルフレンドリーとは?対応と確認方法
対策③ スマホサイトに情報を増やす
PCサイトに表示しているが、スマホサイトに表示していない情報がある場合、スマホ側にも情報を掲載できないか検討します。
スマホサイトは画面サイズが限られていますが、以下のような方法があります。
- タブやアコーディオン・カルーセルで表示する
- メニュー内にリンクやバナーを追加する
- リストやバナーを2列や3列で表示する
また、PCサイトとスマホサイトを別々に作成している場合、PCサイトとスマホサイトの構造化データが一致するようにします。
対策④ 相互リンクの指定と相互リダイレクト
PCサイトとスマホサイトのURLが別々に存在する場合、「相互リンクの指定」「相互リダイレクト」 の両方を対処しておきましょう。
検索エンジンのスマホ対応としては最も重要です。正しく設定されていないと、スマホ で検索したときにPCの URL が表示されたり、PC で検索したときにスマホの URL が表示されてしまいます 。
URLが以下の場合で説明します。
PC ページ | https://example.com/service/ |
スマホページ | https://example.com/sp/service/ |
PCページでスマホページのURLを指定する
対応するスマホページのURLを link タグで指定します。
<link rel="alternate" media="only screen and (max-width: 640px)" href="https://example.com/sp/service/">
スマホページでPCページのURLを指定する
スマホ側には、対応するPCページのURLを link タグで指定します。
<link rel="canonical" href="https://example.com/service/">
デバイスに応じて相互にリダイレクトする
PCブラウザがスマホ版URLにアクセスしたらPC版へリダイレクトします。逆に、スマホがPC版URLにアクセスしたらスマホ版へリダイレクトします。
Webサーバーが Apache の場合、次のように設定します。
BrowserMatch "iPhone|Android.+Mobile" device=smartphone
RewriteEngine On
RewriteCond %{ENV:device} !^smartphone$
RewriteCond %{REQUEST_URI} ^/sp/
RewriteRule ^/sp/(.*)$ https://example.com/$1 [R,QSA,L]
RewriteCond %{ENV:device} ^smartphone$
RewriteCond %{REQUEST_URI} !^/sp/
RewriteRule ^/(.*)$ https://example.com/sp/$1 [R,QSA,L]
対策⑤ 広告表示に注意する
スマホサイトでは、画面全体を覆う広告やポップアップ広告が表示されることがあります。特に、ユーザー操作を妨げる広告は、ユーザーエクスペリエンスを低下させます。
モバイルファーストインデックスでは、スマホサイトの広告にも目を配る必要があります。避けたい広告の表示パターンは、The Better Ads Standards としてまとめられているので、心当たりがないか、確認しておきましょう。
対策⑥ ページ表示速度を上げる
スマホのページ表示速度を改善します。
Google は表示速度を計測するツール「PageSpeed Insights」を公開しているので、まずは測定してみましょう。
モバイルファーストなので、モバイルサイトのスコアが表示されます。回線速度も考慮して評価しているので、モバイルの方が点数が低いはずです。
PageSpeed Insights が素晴らしいのは、パフォーマンスの改善策を提示してくれること。具体的には、画像の圧縮、scriptタグの後方移動、CSSの最適化などです。
指摘事項に対処すれば、ページの表示速度改善につながります。
スマホ最適化のための手法
手法① レスポンシブ
メディアクエリによって、利用するCSSをデバイスごとに切り替える手法です。あらゆる種類のサイトで利用されています。
レスポンシブのメリットは以下の通りです。
- PC/スマホが同一URL
- メディアクエリはW3Cが仕様を標準化
- 各種CSSフレームワークが存在
- Google が推奨
レスポンシブには、次のようなデメリットもあります。
- HTML に PC 用とスマホ用のマークアップが混在する
- CSS が複雑になりやすく、CSS 設定値を把握しづらい
- PC/スマホ が混在しているので表示速度のボトルネックを解消しづらい
- 関連記事:レスポンシブデザインがSEOに有利な理由
手法② PCサイト変換
スマホサイトからPCサイトへ変換する手法です。 モバイルファーストインデックスの考え方に則り、スマホサイトを基準としています。
PCサイト変換のメリットは以下の通りです。
- PC/スマホが同一URL
- PC用のレイアウトが別ファイルなので HTML がシンプル
- PC用のリソースを含まないので、モバイルの表示速度が高速
- メディアクエリと併用可
一方、次のようなデメリットもあります。
- PCファーストで制作する場合は不向き
- PC/スマホで大幅にレイアウトが異なる場合は実装しづらい
弊社では、PCサイト変換ライブラリ「alter.js」を提供しています。
手法③ PC用とスマホ用を別々に作成
PC用ページと、スマホ用ページの2種類を準備し、別々のURLで配信する方法です。
以下のメリットがあります。
- PC/スマホサイトが独立し、表現の自由度が高い
- メディアクエリと併用可
その他、次のようなデメリットがあります。
- リダイレクト設定や相互リンク指定が必要になる
- 重複ファイル管理になる
まとめ
モバイルファーストインデックスが導入され、スマホ対応がSEOに与える影響が大きくなりました。スマホサイトのユーザビリティがよいかどうか、必ずチェックするようにしましょう。
当社ではSEOコンサルティングサービスを提供しており、タイトルや見出しの改善といった内部施策から、動線改善まで柔軟に対応してます。SEO対策にお悩みでしたら、ぜひご利用ください!
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