こんにちは、SEO分析ツール「アナトミー」開発チームの江頭です。
クローラーは、インターネット上のWebサイトを巡回し、ページを収集しています。Googleなどの検索エンジンは、このクローラーで収集した情報を元にして、検索結果を表示しています。
つまり、検索エンジンのクローラーに正しく巡回してもらうことは、SEO対策の基本といえます。
この記事では、検索エンジンのサイト巡回の仕組みと、巡回頻度を最適化する方法について解説します。
クロール・インデックスなどの検索エンジンの仕組みについてはオンラインセミナーでも解説しています。セミナーではGoogle公式のSEOガイドであるGoogle検索セントラルの「Google検索の仕組み」と「スターターガイド」の内容を読み解くことで正しいSEO基礎知識のスタート地点を受講者に提供することを目指しています。これからSEOを始めようと考えている方は是非ご参加ください。
クローラーとは
クローラーは、インターネット上にあるWebサイトを探しまわり、コンテンツを収集するシステムのことです。GoogleやBingなどの検索エンジンは、それぞれクローラーを持っていて、取得したコンテンツを整理した上で検索結果に表示しています。
クローラーは、ボット(bot)やロボット(robot)やスパイダー(spider)とも呼ばれています。
クロールとは、クローラーがWebサイトから情報を収集することを指します。
なお、検索結果に表示されたコンテンツの掲載順位は、GoogleやBingなどの検索エンジンが決定しており、SEO対策によって順位改善が見込めます。
- 関連記事:SEO(検索エンジン最適化)の基本
クローラーの種類
検索エンジンは、それぞれ独自のクローラーを持っています。主な検索エンジンのクローラー(bot)を一覧にまとめました。
クローラー | 検索エンジン |
---|---|
Googlebot | Google検索 |
Bingbot | Bing検索 |
YandexBot | YANDEX検索 |
Baiduspider | Baidu検索 |
Mail.RU_Bot | Mail.ru検索 |
Googlebot(Googleクローラー)
Google検索のクローラーは、Googlebotと呼ばれています。Googlebotは、数千台のマシンを効率的に動作させることで、毎日何十億ものページをクローリングしているといわれています。
Googlebotには用途に応じた数種類かのクローラーがあります。代表的なクローラーがPC用クローラーとスマートフォン用クローラーです。
Googlebotは、次のようなUser-Agentでサイトへアクセスします。
PC用クローラー:
Mozilla/5.0 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)
スマートフォン用クローラー:
Mozilla/5.0 (Linux; Android 6.0.1; Nexus 5X Build/MMB29P) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/80.0.3987.92 Mobile Safari/537.36 (compatible; Googlebot/2.1; +http://www.google.com/bot.html)
画像やCSSは別のUser-Agentでクローリングしています。
Googlebot-Image/1.0
この記事では、最もメジャーな Googlebot を中心に説明します。
Bingbot
検索エンジンBingで使われるクローラーです。Bingでは、5種類のクローラーが稼働していて、一番よく利用されているクローラが Bingbot です。Bingbotは、以下のUser-Agentでサイトへアクセスします。
Mozilla/5.0 (compatible; bingbot/2.0; +http://www.bing.com/bingbot.htm)
YandexBot・Baiduspider
海外シェアの高い検索エンジンYANDEXやBaidu用のクローラーです。
- 関連記事:検索エンジンの国別シェア【2020年版】
その他のクローラー
ちなみに、検索エンジン以外にも次のようなクローラーがあり、Webサイトを巡回しています。
クローラー | 用途 |
---|---|
MJ12bot | SEOツール「Majestic」 |
SemrushBot | SEOツール「Semrush」 |
AhrefsBot | SEOツール「Ahrefs」 |
DotBot | SEOツール「OpenSiteExplorer」 |
AppleBot | SiriやSpotLight |
クローラーが取得するファイルの種類
Googlebot は、次のようなファイルをクローリングします。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- 画像(GIF/JPEG/PNG/WebP/SVG)
- 動画(MP4/WebMなど)
- オフィス文書(Word/Excel/PowerPoint)
HTMLだけではなく、各種メディアファイルもクローリングしていることに注目です。画像ファイルは画像検索、動画ファイルは動画検索で表示されますし、WordファイルやPDFファイルも検索結果に表示されます。
このうち、CSSとJavaScriptは検索結果に表示されませんが、Googleがコンテンツのランキングを評価する際に使われるため、クローリングしています。
クローラーが巡回できないときは?
検索エンジンのクローラーは、リンク・XMLサイトマップ・robots.txtなどを参考にして、Webサイトをクローリングしています。
しかし、Googleクローラーでエラーが検出されたり、クローリングされてもインデックスに登録されないなど、クローラーに関する問題に直面することは少なくありません。
問題が解決できないときは、ぜひSEOの専門家である弊社をご利用ください。SEOコンサルティングにより、クローラーの問題に限らず、検索上位表示に向けたアドバイスも受けられます。
クローラーはどのようにサイト巡回しているのか?
① ブラウザでリンクをたどる
クローラーの動作は、人間で例えるなら「複数人で手分けし、サイト内のリンクを全てクリックしてページを保存する」ことと同じです。具体的には a タグに記載されたリンク先ページを次々とクロールしていきます。
なお、クローラーがたどるのはリンクだけで、フォームから先には進みません。そのため、ログインが必要なページをクローリングすることはありません。
② クロール頻度を調整する
クローラーがサイトに一気にアクセスすると、サイト側のサーバー負荷が上がってしまいますよね。
そこでGooglebotは、Webサイトに影響が出ないよう、巡回スピードを調整しながらアクセスしています。 具体的には、サーバー側の応答速度が遅いときは、巡回頻度を自動的に落とします。
Bingbot はサイトのピーク時間帯を避けて巡回しています。巡回時間帯は、 サイト運営者が Bing Webマスターツールで設定できます。
クローラーはどのページから巡回を始めるのか?
①外部リンク
クローラーは、世界中にある Web ページを巡回し、すべてのリンク先をたどり続けています。
外部サイトからのリンクが1つでもあれば、いずれはクローラーがサイトを見つけます。
- 関連記事:被リンクの増やし方
②巡回を依頼したURL
新しいサイトの場合は、 外部リンクが張られていません。そのようなときは、サイト URL を登録することで、クローラーに巡回を依頼できます。
Googleクローラーに巡回をリクエストするには、Googleサーチコンソールの URL検査ツールを使います。
サーチコンソールで該当のURLを入力した後、[インデックス登録をリクエスト]ボタンをクリックします。
Bing も Web マスターツール を使うと、Bingbot に特定の URL への巡回を依頼できます。
③サイトマップ
クローラーは、「XMLサイトマップ」と呼ばれる、URL一覧を記述したファイルを読み取ります。サイトマップをサイトに設置すると、クローラーは効率的にサイトをクローリングできるようになります。
- 関連記事:XMLサイトマップの作り方
クローラーが巡回したページの確認
Googleクローラーがサイトを巡回して発見したページは、「site:」検索やGoogleサーチコンソールのカバレッジレポートで確認できます。
「site:」検索を使う
Google検索で、「site:ドメイン名」を入力して検索すると、特定ドメインのページ一覧が表示されます。
Googleサーチコンソールのカバレッジレポートを使う
次の手順で、Googleが巡回したページを確認できます。
- Googleサーチコンソールにログインします。
- [カバレッジ]メニューをクリックします。
- [有効(警告あり)][有効][除外]をチェックします。
以下の例では、Googleが合計1,539ページのURLを巡回したことが分かります。
巡回したページは、ステータスごとに分類されています。
詳細内の各ステータスをクリックすると、該当するURL一覧が表示されます。
このように、クローラーがコンテンツを取得しても、すべてのページが検索インデックスに登録されるわけではありません。詳しくは、以下の記事を参照してください。
クロールバジェット
クロールバジェットとは、Googlebotがクローリング可能なページ数の上限です。
Googleのクローラーもリソースには限りがあります。そのため「どのURLでも同じ巡回頻度でクローリングする」というわけにはいきません。そこで、サイトに優劣をつけ、クロールバジェットをコントロールしています。
クロールバジェットが多く割り当てられたサイトは、より多くのページをクローリングできるので、結果的にサイトの巡回速度がアップすることになります。
いくつかの指標がクロールバジェットに影響するとGoogleも言及しています。
Q: サイトの表示速度はクロール バジェットに影響しますか?エラーについてはどうですか?
A: サイトの表示速度を上げると、ユーザーの利便性が向上するだけでなく、クロール速度も上がります。Googlebotは、速度に優れたサイトはサーバーが健全な状態であることを表すものと見なすので、同じ接続の数でより多くのコンテンツの取得が可能になります。一方、5xx エラーや接続タイムアウトが多い場合はサーバーの状態に問題があると見なされ、クロールが遅くなります。
https://webmaster-ja.googleblog.com/2017/01/what-crawl-budget-means-for-googlebot.html
簡単にまとめると、クロールバジェットに影響するのは次のような指標です。
- ページに人気がある
- ページの表示速度が速い
- 重複コンテンツが少ない
- サーバーエラーが少ない
ただ、クロールバジェットが顕著に影響するのは、数千ページ以上の巨大なサイトの場合です。特に、新規サイトであれば、その影響はかなり大きいでしょう。
また、 「人気のあるページ」が優先的にクロールされるとしても、SEO対策の道半ばなら、サイト側では実施可能ではありませんよね。
クローラーの巡回速度を上げるには?
クロールの速度に影響する指標について説明しましたが、巡回速度を上げるために、SEO 対策として実行できそうな施策は以下の通りです。
- インデックス登録のリクエスト
- クロールするページを減らす
- URLを正規化する
- リンク切れをなくす
- サーバーの応答速度を上げる
Googleには、クロール頻度をアップさせる有料サービスはありません。Googleサーチコンソールや、URL正規化などの方法を使い、間接的にクロール頻度を向上させます。
インデックス登録のリクエスト
Googleサーチコンソールで、優先的にクロールしてほしい URL に対して「インデックス登録をリクエスト」します。数ページであれば、この方法でも十分に有効です。
クロールするページを減らす
EC サイトのように、パラメータ付きのURLが大量に存在するサイトでは非常に重要になってきます。
パラメータ付きの URL とは、たとえば商品を絞り込むときに使う、次のようなURL です。
https://example.com/product/list?category=101&subcategory=421&color=020&price_low=3000&price_high=5000&shipping=01
上記の URL は、たとえば「色が赤、3000円~5000円で送料無料の加湿器を検索」したようなときに使用されます(ファセットナビゲーションと呼びます)。
Googleクローラーはリンクさえ発見すれば、このような複雑なURLもクロールし、インデックス登録しようとします。ただし、このような細かい検索フィルタを設定したページをわざわざ Googlebot にクロールに来てもらい、インデックス登録する必要があるでしょうか?
Google ではこのようなページを「価値の低いページ」とみなし、SEO 上の悪影響があると言及しています。
ファセット ナビゲーションは、検索結果を色や価格帯でさらに絞り込む仕組みです。ユーザーにとって便利な機能ですが、重複するコンテンツを持つ URL の組み合わせが数多く生成されてしまうと、検索に悪影響を及ぼすことがあります。
https://webmaster-ja.googleblog.com/2014/03/faceted-navigation-best-and-5-of-worst.html
このような絞込検索用の URL は、robots.txt でクローラーからの巡回を阻止します。楽天など大手ECサイトも robots.txt で対策を取っています。
URLを正規化する
同じページなのに、異なる URL からアクセスできる場合があります。よくあるのが、次のようなケースです。
- https://example.com/
- https://example.com/index.html
index.html を付けても、付けなくても同じページが表示されます。 URL が複数 あるのに内容が重複しているので、「重複ページ」と呼ばれています。「重複ページ」が起きた場合は、URLをどれか1つに決め(URL 正規化)、リンク先の URL を正規化した URL の方に統一していきます。
<a href="/">TOPページ</a>
リンクの正規化は、「クロールするページ数を減らす」ことにもつながります。
リンク切れをなくす
そのほか、リンク切れを減らすことも有効です。
リンク切れが原因で、サーバーから 404 エラーが返ってくると、クローラーとしてはわざわざサイトに巡回しに来た価値がありません。404エラーは、Google 検索結果にも表示されないので、SEO 上の価値もありません。
重複ページもリンク切れも、Googleサーチコンソールから確認できます。これらのページが多くときは、対処をお勧めします。
- 関連ツール:ページ間のリンクを視覚的に確認する【アナトミー】
サーバーの応答を速くする
ページの表示速度を改善することは、ユーザーにとってもSEO上も有効です。
最初にお勧めのするのが、PageSpeed Insights でのページ速度計測です。PageSpeed Insights を使うと、ページの表示速度がスコアリングされて表示されます。画像の軽量化など、実行しやすい施策から進めるとよいでしょう。
Googlebotからの大量アクセスを減らすには?
Googlebotからのアクセスが多く、サーバー負荷に影響が出ている場合は、巡回頻度を下げることもできます。
Googleサーチコンソールのクロール頻度設定画面を開き、頻度を変更します。
「Googleの最大クロール頻度を制限する」を選択し、1秒当たりのリクエスト回数とリクエスト間の間隔を指定します。
クローラーの巡回を制御する「ヒント」
巨大なサイトでクローラの巡回速度を向上させるやり方として、クローラーに「ヒント」を提供する方法もあります。
クローラーが認識するヒントには、次のようなものがあります。
- robots.txt
- サイトマップ
- <meta name=”robots”>タグ
- rel=”nofollow”属性
それぞれ順番に説明します。
- 関連記事:SEOチェックリストのダウンロード
robots.txt
robots.txt は、主にサーバー負荷を軽減する目的で使用するファイルです。
具体的には、robots.txt を使って、クローラーが次のようなURLへアクセスするのを禁止します。
- 詳細な検索結果URL
- 動画ファイル
- 会員向けページ
- 関連記事:robots.txtの書き方
サイトマップ
サイトマップとは、URL一覧をリストアップしたファイルです。URL一覧には、最終更新日時も含められるので、更新したページをクローラーに通知できます。
XMLサイトマップ(sitemap.xml)と呼ばれるファイルがよく使われています。
- 関連記事:XMLサイトマップの作り方
<meta name=”robots”>タグ
クローラー向けの meta
タグをページに記述します。
巡回速度向上に関連する meta
タグは以下の通りです。
<meta name="robots" content="nofollow">
このタグを記述すると、ページ内にある a タグのリンクをクローラーがたどらなくなります。詳細な絞込を行った検索結果ページなどで使うとよいでしょう。
rel=”nofollow”属性
特定の a タグのリンク先へ、クローラーが巡回するのを禁止できます。
次のように rel="nofollow"
属性を追加します。
<a rel="nofollow" href="/product/list?category=101&subcategory=421&color=020&price_low=3000&price_high=3999&shipping=01">
3,000円~3,999円の商品に絞り込んで検索
</a>
上記のように、詳細な絞込を行うリンクへ rel="nofollow"
を付けておくとよいでしょう。
まとめ
以上、GoogleクローラーによるWebページ巡回の仕組みと、巡回を最適化する方法を説明しました。
大規模サイトでは、クローラーによる負荷対策が特に重要です。小規模サイトでは、robots.txtを正しく設定するだけで十分でしょう。
なお、クローラーが取得したコンテンツは、検索エンジンのデータベースである「インデックス」に登録されます。SEO対策としては、インデックス最適化のやり方についても知っておきましょう。
「Google公式SEOガイドから正しいSEO知識を身につける|はじめてのSEOセミナー」では、Googlebotが実際にクロールして、インデックス登録され、ユーザーに検索される仕組みについて、分かり易く解説しています。さらに、その際に生じる課題や、対策する手法についても解説していきます。
SEOとは何か?から始まり、重要な指標や数値、SEO対策の進め方まで幅広く取り扱うセミナーとなっています。SEOをこれから始めようとする方々が、SEOについての全体像を把握することができることを目標としています。
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